イギリス住宅から学ぶ「住生活」

「Home is where the heart is」

これは英国に住むある方から教えていただいた言葉で、「家は心の宿る場所」といった意味合いです。イギリス人の家に対する想いを現したような言葉です。「家」は建築物ではなく。住む人主体の物であり、住む人の想いが表れるハートが宿る場所。住み手の想いで家は変わるのです。

 

 建物の魅力はその用途を満たしてこそ。イギリスの家は建物としての魅力はもとより、内面から溢れるものがあります。内面とは何か。人々の暮らしがそこにはあります。それはその建物がそこに存在してからの継続、継承であり、今も尚活躍しているからこそ生きてきます。そんな積み重ねを持った古い住宅には厚みと深みが増し、魅力的になっていっているのです。新しい魅力とは違う深みや奥行は新築には持ちえません。

 

 日本にも素晴らしい文化や建物は存在していましたし、今も存在しています。しかし住民レベルでその意識はなく、過去のもの、見学するもの、観光地にあるもの、どこか他人事です。住民レベルで継承できていると感じたのがイギリスの家を訪問旅している時でした。彼らは自分達の住みよい家に日々改善し、誇りをもって家を育て、人を招く文化があります。イギリスはどの町に行っても昔の建物や町並みが存在し、そして今も普通に暮らしが継続されているのです。

 

 日本でもイギリスの様に古い家を生かして未来に繋ぐことをしたいと思っても同じようにはいきません。国が違うのですがら、制度や歴史も違います。20年も経てば不動産価値が自動的に無くなってしまうのが日本ですが、イギリスでは、というか欧米では、住まい手のメンテナンスによっては20年後価値が上げる事ができるのですから、考え方自体が使い捨ての日本とは全く違うのです。当然住まい手の意識も変わります。

 しかし今、日本でも中古物件をいかに生かすかというリノベーション文化に注目されてきています。中古物件は簡単に壊すのではなく、その家の良さを生かして今に生かすことができないか、家に歴史を刻み未来に繋げる、そんな思いで家や建物に携わっていきたいと考えます。そして新築を建てるなら未来に継承できる家を街並みも含めて考えられることが理想です。

プロフィール

山田 佳世子

 

住環境福祉コーディネーター、福祉用具専門相談員の営業として、在宅訪問で住環境の相談を受けること4年が土台。コーディネーターの専門学校を経て、住宅の新築、リフォーム、店舗等の設計プランナーとして工務店に転職し経験を積みながら2級建築士の資格を取得。旅先のイギリス住宅に魅せられ、豊かな住環境の在り方のヒントを見つけるべくイギリスの一般住宅を渡り歩く旅に出る。その時のスケッチが宝物。経験し得た概念を元にフリーランスとしてお仕事をさせていただいてます。